Introduction イントロダクション
教会やパーティーに呼ばれれば魔法のトナカイに。空軍の同窓会ではピンクのユニコーンに。高齢者施設ではゾンビに!彼女たちはフロリダで最もアツいシニア女性だけのチア・ダンスチーム<カレンダー・ガールズ>!年間100回以上もの公演を行い、週に3回の練習をこなし、自分たちで振付けし衣装も作る!パワフルで前向き、おしゃれ大好きな彼女たちのダンスの裏には、持病との闘い、夫の無理解、服役していた過去を持つメンバー、老いとの向き合い…それぞれの女性の過酷なバックグラウンドがあった。みんな、何かしら大変なことはあるけれど、互いに励まし合い、全力でサポートし合う。好奇心と探求心、創作意欲にまっすぐな彼女たちの、友情と連帯、夢とユーモアいっぱいの“青春物語”が今、始まる‼
いくつになってもやりたいことに全力で挑戦!
多くの女性にエールを贈る
ハートフル・ドキュメンタリー‼
カレンダー・ガールズは、2005年からフロリダ南西部の人々の心をつかんできたチア・ダンスチーム。多くはリタイアした女性たちで、ほとんどがダンス未経験。周囲の目線を気にしつつも、それをはねのけてやりたいことを追求する彼女たちの姿は、<シニア女性>であることへの挑戦とも言える。女たちの体形はさまざまで、もちろん皺もある。しかし豪華な髪飾りとキラキラのメイク、超ミニ・スカートで思いっきりダンスを披露する姿に、見る人はまちがいなく魅了されるはず!
初長編監督作にして
サンダンス映画祭正式出品の快挙!
監督のマリア・ルーフヴードとローヴェ・マルティンセンはスウェーデン出身。初長編監督作である本作で、2022年フォートマイヤーズ映画祭(米)最優秀ドキュメンタリー賞、2022年サウスサイド映画祭(米)最優秀作品賞、2022年(第40回)ベルガモ・フィルム・ミーティング(伊)最優秀ドキュメンタリー賞等受賞など高い評価を得ている。また、2022年サンダンス映画祭ワールド・シネマ・ドキュメンタリー部門でプレミア上映された他、2022年Hot Docs カナディアン国際ドキュメンタリー映画祭など世界各地の映画祭で上映されている。
About 作品概要
フロリダを拠点とするチア・ダンス・チーム<カレンダー・ガールズ>の活動を追った本作は、練習風景や公演の様子、ポップでカラフルなヘッド・ドレスの製作現場などを捉えながら、メンバーそれぞれの日常や心のうちに一層迫っていく。
「この活動を始めて14年。後悔は何ひとつない」と言うリーダーのキャサリンだが、初め、夫はあきれていたという。ボルチモア出身の元潜入捜査官、ナンシーは、持病の胃不全麻痺のためチア・リーディングを続けられるか否かの瀬戸際にいる。髪飾りの製作者フランは、夫が彼女の活動を快く思っておらず、半年間、ノースカロライナの別荘へ連れていかれることになってしまった。子どもが家を出てシングルのパティは、「人生の目的は何?」と自問自答する。チームの音楽担当、スーは最近まで服役していたが、チームが受け入れてくれたおかげで殻を破ることができたと振り返る。
次第に映し出されていくのは、孫の世話、夫との生活、悪化していく健康状態など、それぞれが自らの問題を背負いながらも、チームを続けたいと奮闘し、涙する姿。そして互いの事情を理解し、支え合おうとするメンバー同士の友情と連帯である。ある日とうとう、ナンシーはチア・リーディングをやめる決断に迫られる。フランは、夫がいる別荘から何とか出ようとするのだが…こうしてもたらされた変化を、<カレンダー・ガールズ>たちはいかに受け止めるのか?
Characters 登場人物
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Katherine キャサリン
<カレンダー・ガールズ>設立者のひとり。2006年からリーダーを務める。
完璧な統率力でチームを牽引する。週60時間以上をチームのために費やす。 -
Nancy ナンシー
メリーランド州ボルチモア出身。元警察官。現在は電気関係の仕事に就いている。
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Fran フラン
チームの特色である髪飾りの製作者。ノースカロライナの別荘で夫と過ごすことになり、半年間練習に参加できないことに。夫はフランのチームへの情熱を快く思っていない。
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Patti パティ
新メンバー。チーム内に自分の居場所を作ろうと奮闘中。
シングルだが、孫の世話のためペンシルバニアに戻る。 -
Sue スー
チームのDJ。米軍の退役軍人。13年の刑期を終えて最近出所した。
Calendar Girls カレンダー・ガールズについて
フロリダを拠点とする、熱心で才能ある50歳以上の女性たちで構成されるチア・ダンス・チーム。活動の発端は2005年。あるダンサーグループが地元バスケットボールチームのハーフ・タイム・ショーに出演するためオーディションで選ばれたことにはじまり、2006年に非営利のLLC(有限責任会社)として法人化し、<カレンダー・ガールズ>(Calendar Girls)が誕生した。
カレンダー・ガールズは、地域のイベント、チャリティー募金活動、プライベートパーティー、パレード、高齢者施設などでパフォーマンスを披露し、フロリダ南西部の人々の心を掴んできた。時にエレガントに、時にはワイルドで奇抜なコスチュームを身にまとい、地域とのつながりを大事にしている。<年齢とは心の状態である>をモットーに、あらゆる年齢の女性のロールモデルになるよう努めている。<成熟した動き>(Maturity in Motion)をすべてのパフォーマンスで体現することを目指し、カントリー、ロックン・ロールなど様々な音楽を取り入れ、公演はフロリダ州全域に渡る。
活動の大きな目的の一つは、慈善事業であるということ。<カレンダー・ガールズ>(Calendar Girls)という名称は、フロリダ州パルメットにある、盲導犬や介助犬についての活動をしている<サウスイースタン・ガイド・ドッグス>(Southeastern Guide Dogs)(※)の認知度向上と資金調達のために、彼女たちが毎年作っているカレンダーに由来する。現在、サウス・イースタン・ガイド・ドッグスに25頭目の盲導犬を贈るべく活動中。
(※)サウスイースタン・ガイド・ドッグス>(Southeastern Guide Dogs):視覚障害のある退役軍人やPTSDのある退役軍人のために盲導犬の訓練等を行っている。
Directors 監督
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Maria Loohufvud マリア・ルーフヴード
音楽とダンスのバックグラウンドを持つアートディレクター。『70歳のチア・リーダー』で長編デビュー。関心分野にフェミニズムがあり、「Komma Lika」などのゲームや、様々なプラットフォームでプロジェクトを生み出している。ローヴェ・マーティンセンと共にインディペンデントのプロダクション、「ピンクドルフィン」を設立。
*Komma Lika:スウェーデン語で「平等になる」「引き分け」という意味。 -
Love Martinsen ローヴェ・マルティンセン
映画、テレビの作曲家。『70歳のチア・リーダー』で長編デビュー。スウェーデンのインディー音楽シーンでプロデューサー、ミュージシャンとしての経歴を持つ。
Reviews コメント・海外評
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これからは自分のしたいことをすると宣言する人、頭飾りを作る人、計画を立てる人、それぞれが役割を持って楽しんでいる。
ダンスも楽しむが、より人とのコミュニケ―ションで強く結ばれている。70才のチアリーダー。残りの人生どう生きる?彼女たちの生き方を見て!滝野文恵(ジャパンポンポン 代表)
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社会で、家庭で、「女」という役をやむを得ず演じてきた彼女たちの悩みや不満、問題は、すぐに解決するものばかりじゃない。ならばいっそ向き合わず、仲間たちと別の誰かになって、楽しめばいい。きっと誰もが、自分のカレンダー・ガールズを探したくなる!
長島有里枝(アーチスト)
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歳を重ね役割から解放された女性たちの輝く青春に学びが多い。それぞれの事情を優しく受け入れ合い、自身の人生を肯定し、率先して楽しむことがシスターズのポリシー。人生の選択肢が自分にあることを改めて教えてくれた。
長尾悠美(Sister代表)
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70歳なんてまだ若い これからヒトハナ咲かせる出発点。
チア・リーダーたちのように やりたいことをやらなくっちゃ!田嶋陽子(元法政大学教授)
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家事をした、子どもを育てた、介護もした。夫や子や孫にふりまわされて、ままならない人生を送った。だがようやく自分だけの季節が訪れる。仲間と踊るこの時間に、わたしがわたしでいられる。永遠のガールズたち!
上野千鶴子(社会学者)
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予想を覆すシビアなドキュメンタリーだった。年配の女性が好きなことを始める苦労はどの国でも一緒なのか。
差別と偏見を超え、老いと向き合いながら、死ぬまで「生きる」ことの意味を問う作品であろう。渡辺えり(女優・演出家・劇作家)
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「第二の10代」であるリタイア後を描いた“青春映画”。
年齢は単なる数字に過ぎないと明らかにする。Variety
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人生を最大限に生きること、志を同じくする女性たちと共にすることで得られるエンパワーメント、情熱を貫くのに年齢は関係ないと証明するドキュメンタリー。
Cineuropa
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人生を全肯定するドキュメンタリー。時間との果てしない戦いの中、毎日を大切に生きる才能あふれる女性たち。彼女たちが踊る喜びが最大の魅力。「老い」について語る姿も豊かに描き出している。
Robert Daniels