
監督:ルバイヤット・ホセイン|出演:リキタ・ナンディニ・シム/ノベラ・ラフマン
撮影:サビーヌ・ランスラン『アンジェリカの微笑み』
2019年|フランス・バングラデシュ・デンマーク・ポルトガル|カラー|95分|配給:パンドラ

解説
世界の繊維産業を支えるバングラデシュ。
国内の縫製工場労働者の80%が女性で平均年齢は25歳。
その過酷な労働環境と低賃金に、
たったひとりの女性が立ち向かう
大手アパレルブランドの工場が集まるダッカ。 衣料品工場で働くシムは、厳しい労働環境にあえぐ同僚たちと労働組合を結成すべく立ち上がる。工場幹部からの脅し、夫や仲間の反対に遭いながら労働法を学び奮闘するが…。
バングラデシュ独立戦争下で敵兵と恋に落ちた女性を描いた“Meherjaan”(2011)、タゴールの詩を背景に葛藤する女性を描いた“Under Construction”(2015)が各国の映画祭で高く評価された、バングラデシュの気鋭ルバイヤット・ホセイン監督、待望の日本初公開作。3年以上のリサーチを経て、10代半ばからバングラデシュの労働闘争に関わってきたダリヤ・アクター・ドリの実話を元に完成させたヒューマンストーリー。陰影のある美しい映像は、マノエル・ド・オリヴェイラ監督の『アンジェリカの微笑み』などで知られるサビーヌ・ランスラン。
物語
23歳のシムは、首都ダッカの衣料品工場で働いている。女性たちがせわしなくミシンを踏み続ける中、工場では男性幹部が威張り散らし、泊りがけも余儀なくされるほど環境は厳しく、給料は未払いが続いていた。家では夫が働かず、シムが働いて得たお金をアテにする毎日。そんなある日、労働者権利団体のナシマ・アパに声をかけられたシムは、同僚たちを説得し、労働組合の結成を目指して立ち上がる。仲間たちと労働法を学び、署名を集め組合結成に向け奔走するが、工場幹部からの脅し、夫や同僚の反対など、さまざまな困難が待っていた…。
キャスト
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シム役
リキタ・ナンディニ・シム Reekita Nondini Shimu
バングラデシュの女優。
主な出演作に“Runway”(2010)、
“Once Upon a Time in Calcutta”(2021)、
“Kingdom of Clay Subjects”(2016年)等。 -
ダリヤ役
ノベラ・ラフマン Novera Rahman
バングラデシュの女優。
幼い頃から子役としてテレビ等で活躍。1971年の独立戦争を描いた子ども映画“Ekattorer Khudiram” (2014, Mannan Hira監督)で映画デビュー。カナダ留学から戻ると本作に出演、国際映画デビューを果たす。“Rickshaw Girl” (2021, Amitabh Reza Chowdhury監督)では主人公に抜擢される。
監督・スタッフ
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監督・脚本・製作:
ルバイヤット・ホセイン Rubaiyat Hossain1981年1月24日、バングラデシュ・ダッカ生まれ。バングラデシュで数少ない女性監督の一人。映画製作者のほか、作家、研究者としても活動。米国スミスカレッジで女性学の学士号を取得し、米国ペンシルベニア大学で南アジア研究の修士号を取得。ニューヨーク大学のTisch芸術学部で映画を学んだ。また、バングラデシュの著名な女性の権利NGOで働いていた。2006年以来、バングラデシュのダッカにあるBRAC大学の経済社会科学部で非常勤講師を務める。バングラデシュ独立戦争下で敵兵と恋に落ちた女性を描いたデビュー作“Meherjaan”(2011)、タゴールの詩を背景に葛藤する女性を描いた“Under Construction”(2015)が各国の映画祭で高く評価される。
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撮影:サビーヌ・ランスラン Sabine Lancelin
1959年12月22日、ベルギー領コンゴのレオポルドビル(キンサシャの旧称)で生まれる。
フランスを代表する撮影監督の一人であり、フランスの女性撮影監督の第一世代に属する。
マノエル・ド・オリヴェイラ監督、シャンタル・アケルマン監督作品など、多くの作品の撮影を手掛ける。La Fémis(国立の映画学校)で教鞭もとっていた。- 代表作
- 『アンジェリカの微笑み』
(2010年/マノエル・ド・オリヴェイラ監督) - 『ブロンド少女は過激に美しく』
(2009年/マノエル・ド・オリヴェイラ監督) - 『コロンブス 永遠の海』
(2007年/マノエル・ド・オリヴェイラ監督) - 『夜顔』
(2006年/マノエル・ド・オリヴェイラ監督) - 『家路』
(2001年/マノエル・ド・オリヴェイラ監督/カンヌ国際映画祭パルム・ドール候補) - 『囚われの女』
(2000年/シャンタル・アケルマン監督)
上映情報
地域 | 劇場名 | 電話番号 | 公開日 |
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東京都 | 岩波ホール | 03-3262-5252 | 上映終了 |
東京都 | 下高井戸シネマ | 上映終了 | |
東京都 | Morc阿佐ヶ谷 | 上映終了 | |
東京都 | シネマハウス大塚 | 上映終了 | |
東京都 | 目黒シネマ | 上映終了 | |
東京都 | キネカ大森 | 上映終了 | |
東京都 | フェアトレードカンパニー | 上映終了 | |
神奈川県 | 横浜シネマリン | 上映終了 | |
神奈川県 | 川崎市アートセンター | 上映終了 | |
神奈川県 | あつぎのえいがかん kiki | 上映終了 | |
神奈川県 | CINEMA AMIGO | 上映終了 | |
埼玉県 | 川越スカラ座 | 上映終了 | |
北海道 | シアターキノ | 上映終了 | |
北海道 | シネマアイリス | 上映終了 | |
青森県 | シネマディクト | 上映終了 | |
宮城県 | チネラヴィータ | 上映終了 | |
山形県 | 鶴岡まちなかキネマ | 2024/3/30(土)〜4/12(金) | |
福島県 | フォーラム福島 | 上映終了 | |
福島県 | kuramoto | 上映終了 | |
茨城県 | あまや座 | 上映終了 | |
栃木県 | 宇都宮ヒカリ座 | 上映終了 | |
群馬県 | 前橋シネマハウス | 上映終了 | |
静岡県 | シネマイーラ | 上映終了 | |
静岡県 | 静岡シネ・ギャラリー | 上映終了 | |
愛知県 | 名演小劇場 | 052-931-1701 | 上映終了 |
愛知県 | 刈谷日劇 | 上映終了 | |
長野県 | 塩尻・東座 | 上映終了 | |
長野県 | 長野ロキシー | 上映終了 | |
長野県 | 松本シネマセレクト | 上映終了 | |
長野県 | 上田映劇 | 上映終了 | |
岐阜県 | ぎふアジア映画祭 | 上映終了 | |
新潟県 | シネウインド | 近日公開 | |
新潟県 | 高田世界館 | 上映終了 | |
富山県 | ほとり座 | 上映終了 | |
大阪府 | シネ・リーブル梅田 | 06-6440-5930 | 上映終了 |
大阪府 | シネヌーヴォ | 上映終了 | |
大阪府 | 八尾市生涯学習センター | 上映終了 | |
京都府 | 京都シネマ | 075-353-4723 | 上映終了 |
京都府 | 京都みなみ会館 | 上映終了 | |
兵庫県 | 元町映画館 | 078-366-2636 | 上映終了 |
兵庫県 | 豊岡劇場 | 上映終了 | |
兵庫県 | 塚口サンサン劇場 | 上映終了 | |
兵庫県 | シネ・ピピア | 上映終了 | |
兵庫県 | パルシネマしんこうえん | 上映終了 | |
岡山県 | シネマ・クレール | 上映終了 | |
広島県 | サロンシネマ | 上映終了 | |
広島県 | 広島県立美術館 | 上映終了 | |
山口県 | 山口芸術情報センター | 近日公開 | |
愛媛県 | シネマルナティック | 上映終了 | |
福岡県 | キノシネマ天神 | 092-406-7805 | 上映終了 |
福岡県 | 北九州映画サークル協議会 会場:小倉コロナシネマワールド / 戸畑市民会館中ホール | 上映終了 | |
福岡県 | 福岡市男女共同参画推進センターアミカス | 上映終了 | |
大分県 | シネマ5 | 上映終了 | |
佐賀県 | シアターエンヤ | 上映終了 | |
長崎県 | 長崎セントラル劇場 | 上映終了 | |
熊本県 | Denkikan | 上映終了 | |
宮崎県 | 宮崎キネマ館 | 上映終了 | |
鹿児島県 | ガーデンズシネマ | 上映終了 | |
沖縄県 | 桜坂劇場 | 上映終了 |
海外評・コメント
女性のエンパワメントを記録した力強い作品。
犠牲の上に成り立つ消費社会の仕組みに疑問を持ち、
想像力を働かせて少しでも正しい選択をすることが大切だと思います。
「知」を得て、屈しない姿勢に力をもらいました。
長尾悠美さん(Sister代表)
リキシャの派手な幌は、40年前と変わらない。
でも、女性たちは変わり始めた。
バングラデシュは彼女たちのパワーで、
国歌に唱われる”黄金のベンガル”になっていく。
松岡 環さん(アジア映画研究者)
グローバル経済の不均衡。
その現場を私が観ているのか。いや私が見られている。
終始こちらが、
安価な衣類をたっぷり身に着けたこちらが問われている。
石坂健治さん
(東京国際映画祭シニア・プログラマー/日本映画大学教授)
あなたの手にしたそのカラフルな服は、
バングラデシュの女性たちの血と涙で縫われた服だった。
無慈悲と暴力に溢れた世界を変えられるかどうかは、
この映画を目撃した観客にかかっている。
佐々木美佳さん
(『タゴール・ソングス』監督/文筆家)
ダッカの匂うような雑踏、路地裏の暮らし、
結婚式での大騒ぎ、暗闇で小さな魚を料理する灯など、
女性監督ならではの細かい描写に息をのむ。
仲間への仕打ちに立ち向かう彼女たちこそ、
バングラデシュを変えていく力です。
松本智子さん
(NPO法人 日本・バングラデシュ文化交流会 理事長)
貧富、教育、ジェンダー、伝統。幾重にも重なり合った複雑な格差。
私たちが享受している安さの裏にある理不尽は
決して他人事ではない。
苦しさの中で彼女たちが身に纏う鮮やかな衣装の美しさに強く勇気付けられた。
加治まやさん(モデル・ライター)
台本があり役者が演じる映画でありながら、ドキュメンタリーのような超リアルな世界。
ダッカの路地裏のゴミ、彼女たちが食べるまずそうなランチ。
ファストファッションを着る我々に、これを見よと突きつけてくる。
蔵前仁一さん(旅行作家)
ダッカの街の空気をありありと思い出しながら映画を見た。
手と手で繋がっている、そういうものの背景に、女性たちのあんな物語が隠れていたとは。
近衛はなさん(脚本家・女優)