
監督:エリ・グラップ
出演:アナスタシア・ブジャシキナ/サブリナ・ルプツォワ
2021年/フランス=スイス=ウクライナ/ウクライナ語・ロシア語・仏語・独語・伊語・英語
カラー/90分/原題:OLGA
提供:パンドラ+キングレコード 配給:パンドラ
© 2021 POINT PROD - CINÉMA DEFACTO
監督:エリ・グラップ
出演:アナスタシア・ブジャシキナ/サブリナ・ルプツォワ
2021年/フランス=スイス=ウクライナ/ウクライナ語・ロシア語・仏語・独語・伊語・英語
カラー/90分/原題:OLGA
提供:パンドラ+キングレコード 配給:パンドラ
© 2021 POINT PROD - CINÉMA DEFACTO
9月3日(土) | エリ・グラップ監督 (スイスよりオンラインで参加) |
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9月4日(日) | 矢田部吉彦さん (前東京国際映画祭ディレクター) |
レポート |
9月10日(土) | 沼野恭子さん (東京外国語大学教授・ロシア文学) |
レポート |
9月11日(日) | 梶山祐治さん (本作字幕監修、 ロシア・中央アジア映画研究者) |
レポート |
9月18日(日) | 廣瀬陽子さん (慶應義塾大学 総合政策学部 教授) |
レポート |
※都合により日時・登壇者が変更・中止になる場合もございますのでご了承ください。
革命に揺れる故郷を、SNSを通じて外から見ることしかできないオルガ。夢を抱いて祖国を離れた15歳の少女は、この現実にどう向き合うのか。
2013年、ユーロマイダン革命直前のキーウ。15歳の体操選手オルガは、ジャーナリストの母と共に何者かに命を狙われる。欧州選手権を目指し、父の故郷スイスのナショナル・チームに移籍したオルガだが、SNSを通じてマイダン革命に揺れる故郷の様子を目の当たりする。大会が近づく中、革命は激しさを増していき—オルガが最後に下した決断とは。夢へ向かう情熱、革命の暴力的な映像、母や友への思い、仲間の挫折、アスリートとしての実力と孤独…変わりゆく世界を目の前にして、15歳の少女がひとり、立ち上がっていく様を描き出す。
ウクライナで起きた市民運動。2013年11月に首都キーウにある独立広場に市民が集まり出したことをきっかけに、2014年2月に親ロシア派のヤヌコーヴィチ大統領の追放へとつながった。
ロシアが侵攻する前に何が起きたのか―?
マイダン・デモ参加者が現地で撮影した映像の緊張感。プロのアスリートの鍛え上げられた肉体が生み出す迫力と躍動感。その場に居合わせたかのような圧倒的な映像で、今、わたしたちが知るべき事実を映し出す。
マイダン革命の映像は、全て実際にデモ参加者がスマートフォンで撮影した映像を使用。主演のアナスタシア・ブジャシキナは2001年ルハンシク生まれ、欧州選手権出場歴のある本物のアスリート。初演技にして強烈な存在感を放つ。彼女のほか、トップを目指す少女たちを国際大会出場レベルのプロのアスリートたちが演じている。体操シーンの撮影は練習のペースに合わせて行われ、ドキュメンタリーかと見紛うほど。
1994年生まれの新たな才能、エリ・グラップ、初長編監督作にしてカンヌ国際映画祭SACD賞受賞の快挙!
ウクライナのバイオリン奏者からユーロマイダン革命の話を聞いたグラップ監督が、深く心を動かされ、製作に着手。2016年の脚本執筆から5年をかけて完成させた。
2013年、ユーロマイダン革命直前のキーウ。15歳のオルガは友人サーシャとともにトレーニングに励む体操選手。ある日、ヤヌコーヴィチ政権の汚職を追及する母が運転する車で帰宅中のオルガは、突然何者かが運転する車に激しく追突される。二人は何とか逃げ切るが、割れたガラス片がオルガの腕に突き刺さっていた―。身の安全のため、亡き父の故郷スイスに移り、現地のナショナル・チームで欧州選手権を目指すこととなったオルガ。欧州選手権が近づいてくるなか、ウクライナではユーロマイダン革命が激しさを増していき、キーウの映像がタブレットやスマホを通じてオルガの生活に入り込んでくる。しかし彼女も欧州選手権出場のため、ウクライナの市民権を手放さなければならず―。政情が刻々と変化しオルガの心は大きく揺れる。彼女が最後に下した決断とは―。
1994年、仏・リヨン生まれ。リヨン国立高等音楽院で10年間クラシック音楽を学ぶ。2015年ローザンヌ美術大学映画科卒業。課題制作“Répétition”(2014年)がアムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭他各国の映画祭に正式出品される。2015年の卒業制作“Suspendu”が、約60の国際映画祭に出品される。2018年“Les particules”(ブレーズ・アリソン監督)でキャスティングと演技指導を担当。大学卒業後スイスに移り、初長編作『オルガの翼』の共同脚本執筆を開始。撮影をキーウ、スイスのオリンピック選手用施設、パリで行う。コロナ禍での撮影中断を経て2020年秋クランクアップ。2020年ロカルノ国際映画祭の特別コンペティション、Films After Tomorrowに選出。2021年にカンヌ国際映画祭批評家週間に選出、脚本の見事さが絶賛されSACD賞を受賞。
2001年ウクライナ東部ルハンシク生まれ。2016年欧州選手権(ベルン大会)団体11位入賞の実績を持つプロ・アスリート。ウクライナのナショナル・リザーブ・チーム(補欠チーム)メンバーとしてトレーニング中の2017年初め、キーウを訪れたグラップ監督が出演をオファー。その際アナスタシアは全く関心を寄せなかったという。演技経験ゼロ、初主演作の本作でその演技が絶賛される。
2003年6月30日ウクライナ南部のドニプロペトロウシク州パウロフラード生まれ。ウクライナの体操選手。2019年ウクライナ選手権で総合個人17位入賞。2018年キーウ・オープンカップジュニア部門個人総合4位入賞。2017年ウクライナ選手権ジュニア&シニア部門総合10位入賞。
1996年9月29日スイス生まれ。2019年まで国際体操選手権(FIG)主催の体操世界選手権、欧州選手権など世界的な大会の常連だったトップ・アスリート。計4回の世界選手権と3回の欧州選手権でスイス代表を務めチームを支えた。2020年10月15日に引退。現在は大学院に進学しプロスポーツの修士号に取り組んでいる。
2019年スイス選手権出場。段違い平行棒でメダル獲得。
2019年FIG体操世界選手権(シュトゥットガルト大会)団体17位入賞。
2018年スイス選手権で平均台銀メダル獲得。
2016年欧州選手権(ベルン大会)団体4位入賞。
2016年オリンピック・テスト大会団体6位入賞。
2015年ヨーロッパ競技大会でスイス・チーム団体6位入賞。
2015年スイス選手権出場。段違い平行棒で銅メダル獲得(個人)。総合6位入賞(個人)。
2000年1月31日スイス生まれ。2018年の体操欧州選手権でスイス・チームとして11位入賞を果たした体操選手。現在は引退している。
2018年シニア・ヨーロッパ選手権出場。
2017年FIG体操世界選手権(ドーハ大会)平均台16位入賞。ゆか10位入賞。
2017年FIG体操ワールドチャレンジカップ(コペル大会)平均台13位入賞。ゆか7位入賞。
2016年オリンピック・テスト大会出場。ステッフィ役のバルロッジョとスイス代表として団体6位入賞。
奈良美智 (美術家)
90分という長さの中に、ストイックな青春を貫く若者の意志と戸惑い、そして友情、さらには母への想いを盛り込み、結果として見事な現代史の記録となっている。
長編第1作という事実に驚くしかない。
矢田部吉彦 (前東京国際映画祭ディレクター)
政治的暴力の中心からどれだけ離れても、突然放り込まれた切実さから逃れることはできない。
どれだけ彼女の近くにいても、切実さの外側から選択の重みを共にすることはできない。
私はオルガを見た。そして私たちの姿も見た。
望月優大 (ライター)
社会で大きな出来事が起こっているさなか、ただ傍観せざるを得ないときの焦りや孤独。
なにが正解なのか、そもそも正解はあるのか。
主演のアナスタシア・ブジャシキナに圧倒される。
俳優ではないのに。俳優ではないから?
速水螺旋人 (漫画家)
2014年2月、世間がソチ五輪に夢中な時、
ウクライナでは革命が起きていた。
スイスに住むオルガの親戚さえ他人事で、
その後ドンバスでは戦いが続いた。
世界がもっと関心を持っていれば、
今とは違う2022年があっただろう。
梶山祐治
(本作字幕監修、ロシア・中央アジア映画)
母の国ウクライナの「革命」と、父の国スイスの体操ナショナルチームとの間で、引き裂かれる15歳のオルガ。
物語が加速していき、
キーウの広場
とオルガの生活が二重写しになる──
これは、戦争と日常の危ういはざまにいる私たちの現状そのものではなかろうか。
沼野恭子 (東京外国語大学教授・ロシア文学)
ウクライナについて、私たちは何も知らない。それを痛感させる衝撃のドラマが、『オルガの翼』だ。
体操選手の少女オルガが、技に挑む時、鉄棒が発する軋みの音が、引き裂かれた彼女の祖国への思いを叫びのように代弁する。今起きているあの戦争を遡って理解するためにも最適かつ必見の映画だ。
岡島尚志 (映画評論家)
ウクライナ・ナショナリズムの目覚めの原点であるユーロマイダン革命をめぐる人間ドラマ。
深く、重い内容だが、現在のウクライナ問題に繋がる重要な論点を多々提供してくれる。
ウクライナ理解に必須の、世界が向き合うべき問題作。
廣瀬陽子 (慶應義塾大学 総合政策学部 教授)
痛みを知る者だけが有する惜しみない優しさに溢れるウクライナの民と、その千年の歴史の一片を、オルガの運命と葛藤の日々を通して描く本作品は、災いの闇夜で希望の灯 を歌うが為の選択肢を問うている。
澤田智恵
(ヴァイオリニスト・日本ウクライナ芸術協会代表)
2013年の<ユーロマイダン革命>を背景に描くこの映画は、2022年の今日、ウクライナへのロシアによる侵攻がなぜ起こったのかを、どんなニュース映像や解説よりも明らかにしてくれる。
翼を得たオルガが未来へ飛び立ち、いつか笑顔を手に入れる日が来ることを祈らずにはいられない。
青木眞弥 (「キネマ旬報」前編集長)
地域 | 劇場名 | 公開日 | 備考 |
---|---|---|---|
東京都 | 渋谷ユーロスペース | 上映終了 | |
神奈川県 | 横浜シネマリン | 上映終了 | |
神奈川県 | 川崎市アートセンター | 上映終了 | |
神奈川県 | あつぎの映画館kiki | 上映終了 | |
千葉県 | キネマ旬報シアター | 上映終了 | |
北海道 | シアターキノ | 上映終了 | |
宮城県 | フォーラム仙台 | 上映終了 | |
栃木県 | 小山シネマロブレ | 上映終了 | |
栃木県 | 宇都宮ヒカリ座 | 上映終了 | |
群馬県 | シネマテークたかさき | 上映終了 | |
長野県 | 上田映劇 | 上映終了 | |
長野県 | 塩尻東座 | 上映終了 | |
富山県 | ほとり座 | 上映終了 | |
愛知県 | 名演小劇場 | 上映終了 | |
大阪府 | シネ・ヌーヴォ | 上映終了 | |
京都府 | 京都みなみ会館 | 上映終了 | |
兵庫県 | 元町映画館 | 上映終了 | |
広島県 | 横川シネマ | 上映終了 | |
香川県 | ホールソレイユ | 上映終了 | |
福岡県 | キノシネマ天神 | 上映終了 | |
沖縄県 | 桜坂劇場 | 上映終了 | |
沖縄県 | ミュージックタウン音市場 | 上映終了 |
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自我を不安に落とし入れるのは、
自我を形成してくれたそのものたちだ。
それらは常に発展途上であって、それゆえに自我形成も途上にあり、一瞬すべてが宙ぶらりんになることは多々あるのだ。
そこから落ちるか飛び立つか、
オルガは飛び上がり、迷いなく着地した。彼女を自分に置き換えることができるなら、誰もが飛び立つ勇気を感じることだろう。